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スーツの袖のボタンについて

vol.289


おはようございます!


今日で7月も終わりですね。


本州では連日の猛暑に加えて台風の影響も気になります。


小樽も昨日、一昨日に続いて今日も最高気温30℃の予報です。


北海道だと侮っていてはいけません!北国でも熱中症は起きますからね。水分補給はしっかりとしましょう!


スーツの袖についているボタン


昨日Facebookの『Men's Ex』のページで↓の写真が問題とともに出ていました。


問題というのが『写真1〜3は英・米・伊(ナポリ)を代表するスーツブランドの袖ボタンである。それぞれに合致する各ブランドをA〜Cの中から選びなさい。』


マニアックで興味のない方にはかなりどうでもいい問題ですが、この問題にちなんで今日は『スーツの袖ボタン』について書きたいと思います。問題の答えは最後に。


この袖ボタン、全くと言っていいほど機能しないし3つも4つも付いてて、一体なに?と思う方もいらっしゃるかもしれません。そもそも縫い付けてあってボタン外せないし(笑)


その感覚はまさにその通りで、現在ではほぼ"飾り"です。


しかし、この袖ボタン、その誕生の起源をたどると様々な狙いや歴史があるんです。


現在のスーツも、機能的には必要ないんですけど、その歴史を受け継いでいる部分がたくさんあります。


そのポイントを知っておくと、お持ちのスーツに愛着が湧くと思うので、ぜひ知ってくださればと思います。


ボタンを最初につけたのはあの『ナポレオン』だった


スーツの袖ボタン、一番はじめにつけたのは、あのフランスの皇帝"ナポレオン"だと言われています。


これ実はおしゃれとか装飾のためではなく、もっと別の理由があったと言われています。


何かと言うと当時フランス軍がロシアへの侵略を図る際、軍隊を引き連れ厳寒の山中を越える必要があったそうで、道中、隊員は寒さで垂れる鼻水をジャケットの袖で拭きながら、懸命に歩を進めていたそうです。


おかけで袖は鼻水まみれ...


これに見かねたナポレオンは隊員たちが袖で鼻を拭えないよう、ボタンをつけて対処したという一説があります。


相手国を侵略する際、自分たちを見た目で威圧してさも強そうに見せ、相手の戦意を喪失させるという、戦略・作戦が実際にあったそうです。


たしかに鼻を垂らしながら袖を鼻水まみれにして来られてもあまり強そうには見えないですね(笑)


そういったことをナポレオンが気にして対処したものと言われています。こういった由来ならば付け外しが出来る機能も必要ありませんし、それが現在のスーツにも引き継がれボタンが外せないというのも納得です。


本切羽とは・・・


スーツの袖ボタンは、極寒の地で鼻水を袖で拭けないよう、ナポレオンが取り付けたものが由来になっている。
だから、付け外しの機能は必要なく、そのモデルが現在のスーツにも引き継がれている。


というお話をしてきました。


しかし・・・実はあるんです。袖のボタンが外せるタイプのスーツが。そしてそれにもきちんとした理由や意図がありました。



↑の写真をご覧ください。ボタンが外れて袖口が開いていますね。このような仕様を『本切羽(ほんせっぱ)』と言います。ちなみに先ほどのボタンがついているだけで開かないタイプを『開き見せ(あきみせ)』と呼びます。


そして、本切羽は別名、『ドクタースタイル』と呼ばれています。そして、ドクタースタイルの起源はヨーロッパと言われています。


昔から、ヨーロッパではシャツは下着、ジャケットは上着という認識です。


人前で下着を見せることはありません。だから、ヨーロッパの方は人前でジャケットを脱がないんです。


ヨーロッパで誕生した袖ボタンを外せるタイプをドクタースタイルと呼び、ヨーロッパの人はジャケットを脱がない・・・


ここまでお話をすると、勘のいい方は答えがわかったかもしれませんね。


お医者さんが患者さんを治療する際に、ジャケットの袖が邪魔になってしまう。


でも、ジャケットを人前で脱ぐのは失礼にあたる。


これを解決するため、袖先を緩めてまくれるようにしたのが、このドクタースタイルの始まりと言われております。


現在では、この本切羽のスーツでボタンをあえて1,2つ外し、袖口からシャツのカフスが見えるような着こなしに使用する方もいらっしゃいます。


この『本切羽』仕様はオプションで出来るお店も多いようですが、SARTORIA FISTYでは標準仕様とさせて頂いてます。


なぜなら私が好きだからです(笑)単純な理由で申し訳ありませんが。


最初の問題の答えです。


A.ギーブスアンドホークス・・・・『1』

B.サウスウィック・・・・『3』

C.チェーザレアットリーニ・・・・『2』


A.ギーブスアンドホークスはロンドンサヴィルロウを代表するテーラー。4つ整然と並んだボタンが英国の質実剛健な哲学を感じさせます。


B.サウスウィックは米国スーツファクトリーの名門。2つボタンはブレザーなどのスポーティーなジャケットに多い。アメリカンスタイルの特徴。


C.アットリーニはナポリを代表するサルトリア。袖の重ねボタンはイタリアらしい洒落っ気を表している。


弊店SARTORIA FISTYは『ナポリ仕立て』ですので袖口は『重ねボタン』が標準です。この重ねボタン別名を『キッスボタン』と言います。


ボタン同士が重なりあってキスをしているように見えるからというのが由来らしいです。


イタリア人が考えそうですね(笑)


今日は以上です!

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