スーツ
vol.681
アスリート専門の
スーツ仕立て屋
SARTORIA FISTY
の拝田昇です!
『アスリートの"不"を解決』
この想いで今日も仕事に臨みます!
昨日の午前中は札幌で
元コンサドーレ札幌の
大森健作さんと打ち合わせ
先月は小樽にお越し頂き
講演会用のスーツを
お仕立て頂きました
昨日は
『カジュアルなセットアップ』
『単品ジャケット』
『単品パンツ』
などを作りたいということで
お声がけを頂きました
ありがたい限りです
現役を引退して12年が経つ
大森さんですが体重は現役時代
より-2kg、体脂肪率は現役時代
同様6%台をキープしているそうです
解説や講演会、サッカー教室などで
多忙な毎日を送ってらっしゃいますが
『見られる』ことへの意識が高く
身に付けるものへのこだわりが
強いのが印象的です
私、こだわりの強い方大好きです
昨日も1時間ちょっとの予定が
色々話していたらあっという間に
2時間半が経過
それでも全然時間が
足りませんでした笑
『次はロングランにしましょう!』
と仰ってましたので次回は
その後の予定を空にして
打ち合わせに臨みたいと
思います
ジャケットの袖ボタン
弊店はオーダーメイド専門
ですから、細部にまでご自分の
こだわりをお持ちになること
が可能です
今日はその中でも普段はあまり
気にされない『袖ボタン』に
関してお話しします
問題
『写真1〜3は英・米・伊を
代表するスーツブランドの
袖ボタンである
それぞれに合致する
各ブランドをA〜Cの
中から選びなさい』
マニアックで興味のない方には
かなりどうでもいい問題ですね笑
問題の答えは最後に
『袖ボタンって、全く機能しないし
3つも4つも付いてて一体なに?』
と思う方もいらっしゃる
かもしれません
『そもそも縫い付けてあって
ボタン外せないし』
その感覚はまさにその通りで
現在ではほぼ"飾り"です
しかし、この袖ボタン、その誕生の
起源をたどると様々な狙いや
歴史があるんです
現在のスーツも、機能的には
必要ないんですが、その歴史を
受け継いでいる部分が沢山あります
そのポイントを知っておくと
お持ちのスーツに愛着が湧きます
のでぜひ知って頂ければと思います
ボタンを最初につけたのはあの『ナポレオン』
スーツの袖ボタンをはじめにつけたのは
あのフランスの皇帝『ナポレオン』
だと言われています
実はおしゃれとか装飾のため
ではなく、もっと別の理由が
あったと言われています
何かと言うと当時フランス軍が
ロシアへの侵略を図る際、軍隊を
引き連れ厳寒の山中を越える
必要がありました
道中、隊員は寒さで垂れる鼻水
をジャケットの袖で拭きながら
懸命に歩を進めていたそうです
おかけで袖は鼻水まみれ・・・
これを見かねたナポレオンは
隊員たちが袖で鼻を拭えないよう
ボタンをつけて対処したという話です
相手国を侵略する際、自分たちを
見た目で威圧して、さも強そうに見せ
相手の戦意を喪失させるという
戦略・作戦が実際にあったそうです
たしかに鼻を垂らしながら袖を
鼻水まみれにして来られても
あまり強そうには見えません笑
そういったことをナポレオンが
気にして対処したものと
言われています
こういった由来ならば付け外しが
出来る機能も必要ありませんし
それが現在のスーツにも
引き継がれボタンが外せない
というのも納得です
本切羽とは・・・
スーツの袖ボタンは、極寒の地で
鼻水を袖で拭けないよう
ナポレオンが取り付けたものが
由来になっている
だから、付け外しの機能は必要なく
そのモデルが現在のスーツにも
引き継がれている
というお話をしてきました
しかし・・・実はあるんです
袖のボタンが外せるタイプのスーツが
そしてそれにもきちんとした
理由や意図がありました
↑の写真をご覧ください
ボタンが外れて袖口が
開いていますね
このような仕様を
『本切羽(ほんせっぱ)』
と言います
ちなみに先ほどのボタンが
ついているだけで開かない
タイプを
『開き見せ(あきみせ)』
と呼びます
そして、本切羽は別名
『ドクタースタイル』
と呼ばれています
そして、ドクタースタイルの
起源はヨーロッパと言われています
昔から、ヨーロッパではシャツは
下着、ジャケットは上着という認識
人前で下着を見せる
ことはありません
ですから、ヨーロッパの方は
人前でジャケットを脱ぎません
ヨーロッパで誕生した袖ボタンを
外せるタイプをドクタースタイル
と呼び、ヨーロッパの人は
ジャケットを脱がない・・・
ここまでお話をすると、勘の
いい方はお分かりですね
お医者さんが患者さんを治療
する際に、ジャケットの袖が
邪魔になってしまう
でも、ジャケットを人前で
脱ぐのは失礼にあたる
これを解決するため、
『袖先を緩めてまくれるようにした』
のが、このドクタースタイルの
始まりと言われております
現在では、この本切羽のスーツで
ボタンをあえて1,2つ外し
袖口からシャツのカフスが
見えるような着こなしに使用する
方もいらっしゃいます
この『本切羽』仕様はオプションで
出来るお店も多いようですが
弊店では標準仕様です
私のこだわりだからです
単純な理由ですが笑
最初の問題の答えです
A.ギーブスアンドホークス・・・・『1』
B.サウスウィック・・・・『3』
C.チェーザレアットリーニ・・・・『2』
A.ギーブスアンドホークスは
ロンドンサヴィルロウを
代表するテーラー
4つ整然と並んだボタンが英国の
質実剛健な哲学を感じさせます
B.サウスウィックは米国スーツ
ファクトリーの名門
2つボタンはブレザーなどの
スポーティーなジャケットに多い
アメリカンスタイルの特徴
C.アットリーニはナポリを
代表するサルトリア(仕立て屋)
袖の重ねボタンはイタリア
らしい洒落っ気を表している
弊店は『ナポリ仕立て』の
お店ですので袖口は
『重ねボタン』が標準です
この重ねボタン別名を
『キッスボタン』
と言います
ボタン同士が重なりあって
キスをしているように見える
からというのが由来らしいです
イタリア人が考えそうですね(笑)